をはしらせる。
をはしらせる。
半次郎ちゃんの愛刀は、いわずとしれた「兼定」である。とんぼの構えは、さすがは「人斬り半次郎」って感じで堂々としたものである。
が、いかんせん、半次郎ちゃんって脳内変換されてしまって、構えの凄みも半減してしまっている。
マジで残念でならない。
有馬の愛刀は無銘であろうか。正眼に構えている。
有馬は、太刀流の分派である飛太刀流である。薩摩藩に伝わる剣術の一派で、たしか、という師範の高弟だったと記憶している。
かれは、抜刀術をもっとも得意とする。 黒田の愛刀は、「」だったはず。
源清磨は、江戸時代後期に活躍した刀工である。刀工である上に、清磨自身も剣をかなり遣ったという。
とんぼに構えているかれの得物が、「清磨」かどうかは正直わからない。黒田が「」をいつごろから所持していたか、しらないからである。もしかすると、これよりもっと後になんらかの褒賞で下されるのか、あるいはだれかから入手するのかもしれない」をいつごろから所持していたか、しらないからである。もしかすると、これよりもっと後になんらかの褒賞で下されるのか、あるいはだれかから入手するのかもしれない。を、副長とその脚許でお座りしている相棒へ向ける。
おんなじ雰囲気を醸しだしつつ、俊春とおれたちを交互にみている。
永倉をみる。
かれは、「手柄山」を正眼に構えている。あいかわらず、https://ameblo.jp/freelance12/entry-12816919313.html https://www.liveinternet.ru/users/freelance12/post500762160// https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202308190001/ ほれぼれするほどきれいな構えである。これだけ癖がなく、静かに堂々と構えることのできる剣士はそうはいない。
この時代にきてからおおくの剣士の構えをみてきたが、永倉ほどの構えをするのは、双子くらいじゃないだろうか。
そして、あとはこの時代のをするな。どうせ、ぽちにかなうわけはないのだ。それならば、この面子で剣術を愉しもうって思わぬか?敵の最強の剣士たちと協力して戦えるのだ。かような機会は、もう二度とめぐってこぬであろう。ここに立って剣をふるえることじたいが、剣の道のなかで、否、人生のなかで素晴らしいことだと、おれは思うがな。さきほどぽちが申した『たまに殺される』ではないが、かようなことを斎藤がしったら、悔し泣きするにきまっている」
永倉は、おれのを感じたのであろう。
かれは正眼に構えたまま、だけ俊春に向け、静かにゆっくりいった。それはおれだけではなく、薩摩勢や副長と相棒にもきこえたであろう。俊春も、きこえはしないが永倉の口の形をよんだにちがいない。
いいや。永倉は、俊春も口の形でわかるようにわざとゆっくり言葉をつむいだのである。
「あいつらは、剣術は愉しいものだのと思いださせてくれた。いつのからか、おれにとっては厳しくつらいものになっていた。そして最近は、自身が生き残るために、相手を傷つけたり殺ったりするための手段になりさがっている。たしかに、そうだ。間違ってはいない。もともとは、敵や襲ってくる相手から、自身や周囲の者の身を護ったり、信じる主や仲間を護り助けるもの。しかし、それだけではない。おれはそれを、あいつらから学んだんだ」
永倉が、そこまで剣術を想っているとは。そして、語るとは・・・・・・。
かれのいう『あいつら」とは、双子のことにほかならない。
そのかれの言葉を噛みしめながら、を眼前へと向ける。
あいかわらず粗末な着物を尻端折りしたその恰好は、どこからどうみてもどこかの家の小者にしかみえない。
そんな小者姿に、左腰の「兼定」は、ひかえめにいっても不釣り合いである。
しかし、なにゆえかそうはみえない。
俊春も俊冬も、あの恰好で「村正」や「関の孫六」を帯びようが、「兼定」や「之定」を帯びようが、じつに自然にみえる。
が、かれらの体の一部であるかのように・・・・・・。
俊春はいま、その場でぴょんぴょん飛び跳ねている。さっきのうしろへ飛びすさったときといい、いまといい、すごいジャンプ力である。かれにしてみれば、かたい地面であろうと砂地であろうと、さしてかわらぬにちがいない。
「永倉先生。おれも剣道、いえ、剣術をやりはじめたころ、すっごく愉しかったんです。親父にほめてもらえるのもあったんですけど。ですが、いつの間にか愉しくなくなっていました。どうやったら試合に勝てるのか、どうやったら相手から一本奪えるのか、そんなことばかりかんがえるようになってしまって・・・・・・。京の黒谷で、みんなで打ち合いましたよね。あれは、超絶愉しかったです。会津侯や桑名少将も参加されて、お二人も愉しそうでしたし。本来、『剣術ってこうあるべきなんだ』って、あのとき実感しました」
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